LAMUの考察ブログ『君の名は。』

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君の名は。マイ考察⑮ 「♪スパークル Sparkle movie ver. 」に関する一考察

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 読者の皆さん、こんばんは。LAMUです。今回、こちらのブログでは、考察テーマ「♪スパークル」を「瀧と三葉のムスビ」視点で読み解いていこうと思います。私的には「俊樹と二葉のムスビ」視点のほうが解釈しやすいのですが、ここは「あえて」映画本編の枠内で、考察を展開していきます。また歌詞の順序は、映画本編で実際に流れた通りに掲載しております。では早速、歌詞を見ていきましょう。

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 ♪まだこの世界は
 僕を飼いならしてたいみたいだ
 望み通りいいだろう
 美しくもがくよ

 Caught in a never-ending game
 Seems like the world’s still trying to tame me
 If that's the way I will ovey   
 Beautifully struggle everyday

 英訳から見ていくと、in a never-ending game にあたる日本語訳が見当たりませんので、「僕=瀧」の心情のニュアンスとして捉えてみますよ。「終わりのないゲーム」とか「果てしなく続くゲーム」のような毎日を、ムスビの秩序に絡めとられた「僕」は、「君=三葉」に関する記憶を失い、ただ残された「寂しさ」という感情だけを抱えながら、一生もがいて生きていくんだと言っています。それもムスビの神にケンカを売るぐらいの覚悟で「Beautifully =美しく」に!です。新海誠監督は、この「美しくもがくよ」というフレーズをいたく気に入ったのか、自身が綴った「小説『君の名は。』」の第七章のタイトルに起用していますよね(「第七章 うつくしく、もがく」)。また、このフレーズの英訳で踏まれた韻 ending, trying や game, tame, way, obey, everyday などの単語の響きが、小気味良いです。

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 ♪互いの砂時計
 眺めながらキスをしようよ
 「さよなら」から一番 遠い
 場所で待ち合わせよう

 Should we have a little kiss
 while seeing both of our hourglasses
 Let's make a plan to meet somewhere that is
 most far from ’goodbye’

 砂時計といえば、サウナに置いてあるアレです。砂が下に落ちきったら、ひっくり返してまた使いますよね。あの真ん中のキュッとしまったところに上の砂が溜まり、下へサーっと落ちていく砂をじっと見ることって日常あまりないと思います。それをあえて眺める。それも「互いの」砂時計を眺めながら二人は何を想うのでしょう? 考えていたら、小さな女の子が「好き」「キライ」「好き」「キライ」と言いながら、花びらを一枚ずつちぎって恋を占う姿が浮かんできました。砂が下へ落ちきる前に、互いにどんな言葉を心に唱えていたのでしょうか。「また逢えるのか」「もう逢えないか」┅ とか?

 そして「さよなら」から一番遠い場所って、どこなのでしょう? 普段使う別れの挨拶言葉の「さよなら」ではなく、破局シーンで交わすような「さよなら」だとしたら、その反対の挨拶言葉は「はじめまして」になります。すると「♪夢灯籠」の最後のフレーズ「また『はじめまして』の合図を 決めよう 君の名を 今追いかけるよ」の歌詞とリンクしてきますね。すなわち、瀧と三葉が普通の男女として「初めて」出逢う、ラストの須賀神社の階段シーンを予見させる作詞側の意図が、この歌詞の中に含まれていたのかもしれません。

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 ♪辞書にある言葉で 
 出来上がった世界を憎んだ
 万華鏡の中で
 八月のある朝

 How I hated lifeless world
 that's made up entirely of dictionary words that
 I saw through my kaleidoscope
 on a monotonous August morn

 辞書にある言葉、つまり万人の共通認識で成り立つ常識やルールみたいな概念で規定される世の中なんて、まっぴらごめんだ! 何の変哲もない退屈な価値観にだけは「僕」は埋没したくない。万華鏡を覗いてごらんよ。彩り豊かな幾何学模様が幾重にも重なっては消え、また現れては次々と不思議な紋様を醸し出している。そんな理屈を越えた不思議な世界に身を委ねて、非日常の出来事(=奇跡)が急に舞い込んできたって別にいいじゃないか┅┅。そんな心の叫びのような「僕」の願いを、私はこの歌詞から感じました。しかし、どうして「八月のある朝」というフレーズが唐突に出てくるのでしょうか? まさか映画公開日の(2016年)8月26日を意識したうえでの「八月」なのか否か、ずっと謎のままです。

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 ♪君は僕の前で 
 ハニかんでは澄ましてみせた
 この世界の教科書のような笑顔で

 When you appeard in front of me
 you acted shy but I didn't miss
 your grinning face like
 If it's the textbook of this world
 of how to make your smile on your face

 そしてついに「僕」は「君」と出逢います。社会人になった瀧が、3歳年上の三葉と初めて出逢うのは2022年の春なので、やはり「八月のある朝」というフレーズに「?」がつきますね。「はにかんで= grinning 」の「はに」が、カタカナで「ハニ」と表記されているのは、you acted shy =恥ずかしそうにふるまった「君」の澄まし顔を、強調する意図があったのでしょうか┅。「教科書のような笑顔」というフレーズも、一見意味が通らない表現ではありますが、英訳では how to make your smile on your face = 笑顔の作り方(の教本)というふうに説明がなされています。まさしく下(↓)の画像のシーンで、振り返った三葉が見せたような笑顔を指しているんだと思われます。

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 ♪ついに時はきた
 昨日までは序章の序章で
 飛ばし読みでいいから
 ここからが僕だよ
 経験と知識と
 カビの生えかかった勇気を持って
 いまだかつてないスピードで
 君のもとへダイブを

 Finally, the time has come
 Everything up ’til yesterday was a prologue
 Skimming through the days of old
 It's my turn to bear the load
 My experience and my skill
 And all the courage
 I had let start to mildow
 At an unpreceedented speed I will
 dive right into you

 ここからの解釈は、私自身の思いきった深読み説となります。先ほどまで疑問を呈していた「八月のある朝」を、2022年の夏と仮定するのです。すなわち瀧と三葉が春に出逢い、交際を始めてから4ヶ月が経とうとする頃になります。高校生時代の入れ替わり生活など互いの記憶を失っている二人ですが、互いの部屋を行き交ううちに、互いを探し求めていたという感覚が想起されてくるのです。例えば、瀧が糸守の記憶を辿り描き続けた数枚のスケッチ画を、三葉が瀧の部屋で見つけたとしましょう。

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三葉】(あれ、(↑)この絵┅、糸守やないの?!!  どうして、瀧くんの部屋に糸守の画があるんやろ?)

瀧】ん? 三葉、どうした?

三葉】あっ瀧くん、これ┅。

瀧】あっ、それ┅かぁ。俺が高校生だった頃だから、今から5、6年前かな。田舎のスケッチを描きまくった時期があってさ、なぜかずっと捨てられなくって┅。

三葉】瀧くん┅、この画の町なんやけど、私の故郷にすっごく似てるんやさ┅。なんでなんやろ?

瀧】えっ?! そうなのか? 俺はこの画の田舎がどこにあるのか、どういう名前の場所なんかは全く知らないんだ。

三葉】そう┅なんだ。私の故郷はね、岐阜県の北のほうにある飛騨市のそばにあった糸守町っていう小さい町やったんやよ。

瀧】糸守町┅、ん? なんで過去形?

三葉】瀧くんは知らないかな┅? 今から9年ほど前、彗星の片割れが私の町に落ちて、一瞬で壊滅したんやよ。元々糸守湖っていう湖を中心に集落があってね┅、隕石が湖畔に直撃した衝撃で、もっと大きな湖が出来ちゃって、今は瓢箪型の湖になってしもたんやさ。私の家も神社も、近隣の集落の全てがなくなってまって、今は湖の底に沈んでる(涙)┅。

瀧】み、三葉┅。今の話、俺の(記憶の)なかで何か引っ掛かってる! あっ!あのさ、バス停みたいなとこ、周辺になかった? パラソルつきのおしゃれなテーブルとかイスがあるようなバス停┅。

三葉】(泣)┅くん、たきくん。なんで、うちの家の下にあったバス停を細かく知ってるん? 私の幼なじみが手作りした「おしゃれカフェ」のバス停、確かにあったよ。どうして、瀧くんが知っとるん┅。

瀧】ああ┅┅! 頭ん中で何かが出かかってる!
俺、この田舎に行ったことがあったかもしれない。

三葉】えっ! 私の故郷へ┅、瀧くんが糸守に?

 ┅という会話があったとします。そう! ついにムスビの神から取り去られていた記憶を、二人で「再生」する時が来たのです。気が遠くなるほどの長い時間をかけて、互いを探し続けた日々は、これから二人で共に紡いでいく人生の「序章の序章」。Skimming through the days of old =ざっと、飛ばし読みでいいから、今度は「僕」が記憶の綾を手繰って「君」の分までこころの痛みを担うよ(= bear the load )。「君」に出逢うまでに蓄積してきた経験や知識、技術を総動員して、更に今という時まで時間を要してカビが生えかかってしまった勇気をふり絞って、「僕」は「君」のこころの核に触りに行くよ。過ぎ去った時間を巻き返すぐらいのハイスピードで「僕」は「君」の記憶の扉を開きに行くから、何かを失ってしまったという感覚と、果てしない寂しさの感情を、これからは君と僕の「二人」で埋め合わせしよう。やっとの想いで、僕らは出逢えたんだから┅┅。まさにこれは瀧から三葉への真摯なメッセージ、プロポーズの言葉でもありますね。

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 ♪まどろみの中で 生温いコーラに
 ここでないどこかを 夢見たよ
 教室の窓の外に
 電車に揺られ 運ばれる朝に

 And when I dozed off into
 a lukewarm can of soda I
 dreamed of a world so far from here,
 that's not on the map
 Searching outside of the classroom window
 or in summer morning that's
 brought from the commuting train

「まどろみ」とは「入れ替わり現象」の言い換えでしょうか。飲みかけだったコーラは、いつしか日付をまたいで生温くなっていたわけです。そして見知らぬ土地で、相手の身体を使って生活していた自身の意識を確認した二人は、瀧の場合なら糸守高校の教室から見た糸守集落の風景を、三葉の場合なら、初めて乗った首都圏を駆け巡る満員電車の喧騒を思い出していたんだろうと、私は勝手に想像しています。で、ここでもなんと! 英訳に目を移すと in summer morning!やはり「夏の日」の朝と描写されているんですね。もはや時系列があやふやです。

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 ♪愛し方さえも 
 君の匂いがした
 歩き方さえも 
 その笑い声がした

 Even the way that you loved
 I swear I could smell the scent of yours
 And in the way that you walked
 I could hear that bright laughter of yours

 そして二人は夜の契りを交わし合います。互いのこころの琴線に触れながら、身体を合わせるたびにその五感の全てが、さらに互いの記憶を呼び覚ましていくのです。その様子を「愛し方さえも君の匂いがした」と描写したのではないかと私は考えます。次第に入れ替わり現象の記憶まで遡上してきた二人は、互いの身体で過ごしたそれぞれの日常生活の記憶を、朧気なモノトーンから彩り豊かなリアルな映像として再生できるまでに至り、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚に加え関節の位置覚・運動覚の細部にまで、互いの記憶を共有できるようになります。

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 ♪いつか消えてなくなる
 君のすべてを
 この眼に焼き付けておくことは
 もう権利なんかじゃない
 義務だと思うんだ

 Since one day you will disappeare
 I'll keep every part of you
 Make sure that it's burned into
 the back of my eyes
 It's not a right that I'm due
 my duty that is must have been kept

 しかし、ティアマト彗星で一度失った(失いかけた)君の生命の記憶にさしかかったときに、僕は気づくのです。互いの霊魂が一つにならんばかりに呼応し合う関係ではあっても、肉体を宿した現世(今)の関係には限りがある。必ず「死」という「別れ」が訪れる。それはあの日のように、突然降りかかるかもしれない。それは僕の死で起こるかもしれないし、君の死によるのかもしれない。いずれにせよ、現世に活きて躍動している二人のこの生命を、心の隅々まで一緒に感じて記憶に留めておこう。それは僕や君が有する権利とか特権というよりはむしろ、二人が共有する、お互いへの義務なんだ、と。

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 ♪運命だとか未来とかって
 言葉がどれだけ手を
 伸ばそうと届かない
 場所で僕ら恋をする
 時計の針も二人を
 横目に見ながら進む
 そんな世界を二人で
 一生 いや、何章でも

 生き抜いていこう

 Words like ’tomorrow’ or ’future’ or ’ fate
 no matter how far they extend their hands
 We breathe, we dream, we raise our love
 in a timeless land that is far out of reach
 Even the second, hour hands of the clock
 they look at us sideways as they tick and tock
 How I hope to have forever to spend
 This life, no ― all future lives

 right here in this world with you

 そうすれば僕らは、運命や未知の出来事に翻弄されずに、もっと先の未来、そう!来世とか来来世、いや来来来世にまでムスビつくぐらい、二人の絆は固く揺るぎないものになるんだと僕は思うんだ。時間軸に左右されない常世の世界へ、僕らの霊魂が引き上げられるまで、何回でも転生して僕らは一緒にその時代で呼吸し、そこで夢を追い、そして何度でも愛し合おう┅┅、そんな壮大な僕のイメージ、希望、決意たる想いがこの歌詞から感じ取れました。

☆♪スパークル MV版 を試聴したい方はこちらから
 ☞【https://youtu.be/a2GujJZfXpg】☜

☆♪スパークル《オーケストラコンサート》版を
  試聴したい方はこちらから
 ☞【https://youtu.be/NlE3g0u4cpU】☜

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 仕事の合間を縫いながら、逐次更新するという投稿の形態を取りましたので、読者の皆さんの中にはヤキモキしてしまう方がいらっしゃったかもしれませんが、どうかお許しください。今回の「♪スパークル」も、先回の2曲に並び、本当に解釈が困難な曲であると同時に、視点を変えるだけで読み解き方が何通りも生まれるという、まさに幅・高さばかりか奥行きまである名曲揃い(私的には迷曲揃い?)です。織物に例えると、縦糸・横糸が何層にも編み込まれて面をなして布となるような楽曲のオンパレードと言えますね。語り場掲示板のほうでは「俊樹と二葉のムスビ」視点で、RADWIMPSのMV通りの歌詞で考察していきます。以前の考察ブログの本文中で、何度か曲の解釈を紹介しておりますので重複する部分もあると思いますが、ぜひご期待ください。

 ★続編のリンク先はこちらから★
☞【https://lamu.hatenadiary.com/】☜

 
画像出典 映画.com フォトギャラリー 他