LAMUの考察ブログ『君の名は。』

映画『君の名は。』を読み解く考察のページ

君の名は。マイ考察⑭ 「♪前前前世 Zenzenzense movie ver. 」に関する一考察

 こんにちは、LAMUです。前置きは省きまして、早速今回の考察テーマ曲「♪前前前世」について考えてみたいと思います。映画本編では、瀧と三葉の入れ替わり生活が、疾走感あるビートとメロディーラインに乗せてモンタージュで描かれていました。コミカルなタッチで、糸守と東京の人間関係を次々と視聴者に見せ、あまりのノリの良さとテンポの早さに、思考が追いつかない方々も多かったのではないでしょうか? もれなく私もその一人です(笑)。映画『君の名は。』の川村元気プロデューサーに言わせれば、観客を少し置いていくぐらいの展開の早さを、この入れ替わりの日々のシーンに「狙って」取り入れたようですよ。だから安心してください。その狙いが当たり、映画館に駆けつけるリピーターが多かった要因の一つとも言われていますから。

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 ところで、疾風の如く物語を引っ張っていく主題歌「♪前前前世」のタイトルに、これまた「♪夢灯籠」の時のような「?」が私の頭をよぎりました。仏教の世界観にある「輪廻転生」丸出しのタイトルじゃん! 宮水神社は神道だろ!っていう突っ込みを自ら入れて、頭の中で「仏教vs神道」みたいな構図が浮上した私は、六世紀の仏教伝来以降、わが国には神道と仏教が融合してきた歴史があるから、まぁ深読みはよしておこうと、胸を撫で下ろしたわけです。それからしばらくして、なぜ「前世」じゃなくて「前前前世」?、また「来来来世」にしなかったのはどうしてかな?┅などと、またもや疑問の嵐が収まりません。皆さんはそんなことを考えませんでしたか(LAMUだけかな┅)?

 この疑問は RADWIMPS の MV「♪前前前世」の動画を見ているうちに、ヒントが見つかりました。時間軸の無限なり、並行世界の無数を表すには「前世」だとインパクトが弱い。「前前世」を口に出して読めば5文字だけど、もう1つ「前」を足して「ぜんぜんぜんせ」と7文字にすると、なんか語呂が良い。さらに「来来来世」にしちゃうと、未来の世界から現在(2013年~2016年)という過去に遡るようなタイトルになってしまい、時間のベクトルとは逆行して「後ろ向き」なイメージが物語にそぐわない┅等、私なりに想像していたら、動画のRADの面々が途中から野武士や忍者、百姓になっていて、終いには三人が類人猿になって、焚き火の周りで音楽に合わせ、手拍子をしているじゃありませんか!「前前前世」という言葉から、「原点回帰」「細胞分裂」など、映画本編の中盤で描かれた「瀧の口噛み酒トリップの回想シーン」冒頭の映像にリンクするイメージが沸き上がってきました。きっと歌詞の内容を読み解く鍵がそこにあるのかもしれません。

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 ♪やっと眼を覚ましたかい
 それなのになぜ眼も合わせやしないんだい?
 「遅いよ」と怒る君
 これでもやれるだけ飛ばしてきたんだよ

 心が身体を追い越してきたんだよ

 At last, hello you're opened your eyes
 But, why won't you even look me in the eyes,
 what's wrong with you?
 You angrily tell me that I'm late
 Well, I'm sorry, but I did my best
 and running at my fastest pace

 My heart overtook my body as it flew to
 find you in this place

「目」じゃなく「眼」なんですよね。心とか関心とか、顔にある目とは違う意味が込められているのでしょう。カップルの男女が待ち合わせの約束をしていて、待ちぼうけを食らった彼女が、遅れてやって来た彼氏に軽く文句を言って、顔を背け拗ねている様子を最初にイメージしがちですが、冒頭のフレーズに戻って「ん?」、さらに「全力で彼は駆けつけてきた」のに彼女は拗ねてるし┅? そこで、このフレーズが『君の名は。』という物語全体の「比喩」だと考えると、見方が変わります。一度死んだヒロインの三葉が、隠り世で浮遊霊の状態でさまよっていた頃、「彼女の死」という驚愕の事実を知った瀧が、それでも諦めずにギリギリの精神状態かつ命懸けで、隠り世にやってきたその覚悟と決死の行動を、歌詞に表したんだと私は捉えました。そこまでの犠牲を払ってまで実現したカタワレドキの邂逅で、瀧は三葉から、彼女の唾液で出来上がった口噛み酒を口にしたことで「変態!」と叱られます。何だか『「遅いよ」と怒る君』とシンクロしません?

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 ♪どっから話すかな
 君が眠っていた間のストーリー
 何億 何光年分の物語を語りにきたんだよ
 けどいざその姿この眼に映すと

 Where should I start? How should I explain?
 Wanna tell you everything that happened
 while you were in a long long dream
 I flew through dozens of skies
 to tell you adventures I've been through
 hundreds of millions of light years’ worth
 But now I'm here, finally seeing you
 reflected in my eyes

 映画本編で実際に流れた順に歌詞を見ていきます(ちなみにこのフレーズは二番の冒頭の歌詞です)。「眠っていた間」とは、先ほど述べたように、彗星災害の犠牲になったヒロインが、隠り世で浮遊霊の状態で徘徊していた2013年10月4日~2016年10月下旬の、約3年間を指すのでしょう。「何億 何光年分の物語」とは「並行世界」にまつわるムスビの秩序に携わった、瀧の潜在意識(もしくは表層意識まで含む)の中身を例えた描写なのかもしれませんね。しかしカタワレドキの邂逅で、自分自身の身体で初めて三葉と顔を見合わせた時、瀧の意識はただただ、溢れんばかりの感情で満たされるわけです。

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 ♪君の髪や瞳だけで胸が痛いよ
 同じ時を吸い込んで離したくないよ
 遥か昔から知る その声に
 生まれてはじめて 何を言えばいい?

 Seeing your hair flowing and your bright eyes
 glowing aches my very core
 Wish I could breathe in the same dimension,
 I don't want to let it go
 Now that I am finally faced with the voice
 I've known for so long
 I don't know what the words
 should be the very first I say to you

 さぁ、この曲を解釈するなかで難関の関所がやってきました。前半のフレーズは、文字通りの愛おしい気持ちを瀧が三葉に対して抱いたということで、なんら問題ないでしょう。その後からのフレーズが難解なのです。「遥か昔から知る その声?」ん?瀧くん、君は何者? 愛おしい表現にしては行き過ぎてない? うーーん。待てよ。「♪前前前世」の歌詞で登場する「君」は女性であることは間違いありませんよね。それなら、この曲の第一人称である「僕」って、一体誰なんでしょう?次に進みます。
 
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 ♪君の前前前世から僕は 君を探しはじめたよ
 そのぶきっちょな笑い方をめがけて
 やってきたんだよ

 Back in the Zenzenzense ’til this day
 been looking everywhere for you
 I followed the sound of your innocent laughter
 and it guided me in the right way  

 一番盛り上がるフレーズの解釈が、最も難しいわけなんですが、もうここまで来ると「僕=瀧」という設定にかなり無理が生じてきていますよね┅。あるブログでは「僕=概念」とする解釈が紹介されていて、私はひととき「!」となったり、でもやっぱり「僕 ≒ 瀧」の解釈を捨てきれなかったりと、頭を非常に悩ませた訳なのです。いま現在の私の解釈は「僕=ムスビの神」で落ち着きつつあります。ムスビの神を「人が持つような人格を持つ」存在とみなす前提で、瀧という具体を用いて擬人化し、「君=人間1人ひとり」に対して「愛」のメッセージを伝えているという解釈です。まるで新約聖書の福音のような解釈となります。まぁそれにしても、フランクな神さまだなぁ、と首をかしげてしまいますが。

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 ♪君が全然全部なくなって
 チリヂリになったって
 もう迷わない また1から探しはじめるさ
 むしろ0から また宇宙をはじめてみようか

 Even if every piece of you disappeared
 and if it scattered everywhere
 No, I wouldn't waver, I would start back at once
 look for you all over again
 Or maybe instead I'll take the whole universe
 right back to zero again

「君が全然全部なくなってチリヂリになったって」のフレーズで真っ先に想像するのは、割れたティアマト彗星の隕石直撃による「蒸発」で、瞬時に肉体を失った糸守町の500有余人の最期です。残酷な現実のはずなのに、ムスビの神は、その愛をもって霊魂の一つすら失わずに、愛する対象としていつも君を心に留めているよ┅と言わんばかりのフレーズ。無数の時間軸を束ね、並行世界の秩序を統べ治める常世の為政者、天地万物の創造主ならば、0から宇宙を作り出せるのでしょう。無から有を産み出すビッグバンすらも、ムスビの秩序で全て統治されている。だけど、三葉やテッシー、サヤちんら糸守町で犠牲者となってたはずの霊魂は0ではない。存在していた個体という意味で、自然数の始まりの1なんです。この1や0の表現からも、緻密な意図が込められた歌詞だなと、私LAMUは感銘を受けました。

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 ♪私たち越えれるかな
 この先の未来 数えきれぬ困難を
 言ったろう 二人なら
 笑って返り討ちにきっとできるさ
 君以外の武器は ほかには要らないんだ

 I wonder if we can push our way through
 The countless barriers that’s waiting
 in the future just beyond our view
 Side by side, no way we can lose
 We'll beat destiny at its own game
 and make it follow our own rules
 and there isn't any weapon
 besides you that I need to use

 ここからのフレーズは、映画本編限定で採用された歌詞になります。RADWIMPSのCDアルバム『♪君の名は。』では聴けません。また公式パンフレットにも歌詞すら載っていません。RADWIMPSの英語版CDアルバム『Your Name. 』でのみ、英語で歌詞が紹介されています。なぜ、そんなことになったのでしょう? これには RAD が証す逸話があります。英語版より先に販売された日本語版のアルバムが完成したある日、どうしてもこのフレーズを劇伴として観客に聴かせたいという新海誠監督からの急な要請が入り、メンバーは多少困惑したようです。

「私たち」という第二人称表現は、「君」が発したつぶやきのようなニュアンスを醸したかったのでしょう。それに対し「僕」は「言ったろう 二人なら┅」とたしなめます。ただ、強がりから出た言葉かどうか判りませんが、「返り討ち」や「武器」という少々場違いな言葉がここで使われています。戦闘気質の「僕」? あれれ┅「ムスビの神」らしからぬ言葉の羅列にまたまた頭を悩ます次第です。喧嘩っ早い瀧の性格とシンクロする言葉でもあるので、都合良くここは、「擬人化」モードの「僕」が発した「野郎言葉」ということでスルーしましょうか。

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 ♪前前前世から僕は 君を探しはじめたよ
 もう迷わない 君のハートに旗を立てるよ
 君は僕から諦め方を 奪い取ったの

 Zenzenzense ’til this day
 been looking everywhere for you
 No more hesitation, I will put up a flag
 to stake my claim on your heart tonight
 ’Cause you took away from me
 the will to give up
 so clearly and awkwardly

「君のハートに旗を立てる」という表現は、意外に他のアーティストも歌詞に使うようですね。とあるブログを読んで知りました。最後の「君は僕から諦め方を 奪い取ったの」で、野田洋次郎さんの言葉のセンスに舌を巻いた私でありました。プロポーズで使ってみたら、相手はどんな反応をするのかな? もはや思考回路がオーバーヒート気味でございます。それほど私には考察が難解な迷曲でした。

☆♪前前前世 MV版 を試聴したい方はこちらから
 ☞【https://youtu.be/PDSkFeMVNFs】☜

☆♪前前前世《オーケストラコンサート》版を
  試聴したい方はこちらから
 ☞【https://youtu.be/2ZTDE6WpuMk】☜

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 さて今回の考察で、英訳には一切触れておりません。日本語ですらこれほど解釈が困難なうえ、英訳にまで思考が及ばなかったというのが本音であります。そこで、次回は「♪前前前世(続編)」と題して当方の考察交流ページ『語り場掲示板』にて、二番の歌詞(英訳も考察の対象)の考察を掲載する予定でおります。次の考察テーマ曲「♪スパークル」は、その考察の次に再び本ブログにて掲載いたします。
 
 ★続編のリンク先はこちらから★
☞【https://lamu.hatenadiary.com/】☜

 
画像出典 映画.com フォトギャラリー 他